デジタル化時代による膨大な量のデータの出現で、高速データ伝送技術の開発が注目されています。高速伝送の進化に伴いシステム設計の複雑さが増し、信号伝送による減衰が発生します。高速伝送インターフェース技術の研究開発に長い間取り組んできたファイソンエレクトロニクス社(Phison; 8299TT)は8月12日、新しい高速伝送インターフェースIC製品となるPCIe 5.0 Redriver PS7101を発売しました。これにより、世界中の顧客により高い精度での高速伝送ソリューションが提供されます。
半導体技術の急速な進歩によるインターフェース速度の高速化により、PCIe高速伝送の需要が高まっています。PCIe 3.0シングルチャネル8Gbps/秒の仕様が一般的に使用されてからわずか数年でPCIe5.0シングルチャネル32Gbps /秒が登場しました。PCIe6.0シングルチャネル64Gbps /秒の普及も目の前に迫ってきています。 高速信号伝送の中核であるCPUメインチップの効率が高くなっていくことでユーザーの利便性は向上しますが、その一方でシステム全体の開発や設計が難しくなります。 PCやサーバーのマザーボード上でCPUがトレースとコネクタを介して端末のSSDやグラフィックカードに接続されている場合、PCIe信号の伝送速度が速ければ速いほど減衰しやすくなります。回線上のノイズの影響により、CPUメインチップと端末機器間の信号の送信が不正確になり互換性の問題が発生します。CPUメインチップと端末デバイスの間にリピータ/リタイマなどの高速伝送インターフェースICを追加することで、高速伝送に起因する信号の問題を効果的に解決することができます。これは、高速伝送インターフェースの新分野で、非常に高い技術を要求される新市場です。
世界の主要CPUメーカーはPCIeの伝送速度を上げるため、莫大な研究開発投資をしています。高速化による製品間の互換性の不確実性の問題を解決するため、業界全体でテクノロジーを進化させ続ける必要があり、周辺機器メーカーも、技術的な問題を共同で解決するためのソリューションとパートナーを必要としています。ファイソン社初のPCIe5.0リピータIC PS7101は、このような背景の下で開発されました。
ファイソンのPS7101は、高ゲインと直線性が高いPCIe 5.0リピータICで、PCやサーバープラットフォーム上のマザーボード、ライザーカードの伝送パスによって発生する信号の減衰問題を解決します。ファイソン社は、長年のPCIeプラットフォームの開発の経験による高信頼性かつ安定した回路設計に基づき、さまざまなCPUメーカーや端末デバイスの接続の際に発生する可能性のある互換性問題を効果的に軽減します。さらに、PS7101リピータICは、フリップチップパッケージング技術により、ICパッケージングによって引き起こされる信号反射とクロストーク干渉を低減し、ICの熱放散能力を向上させています。
ファイソンの PS7101は、複数の周波数帯域に対して独立した補正を提供します。さまざまなケーブルやPCBボードに簡単に適合できるため、PCやサーバープラットフォームの開発エンジニアは、損失を補正するための調整が個別にできます。さらに、ファイソン社が提供する、独自特許取得済みオートチューニングツールにより、顧客はさまざまなリピータゲインパラメーターを開発環境内に自動的に取り込むことができます。マザーボード開発者は、このツールを簡単に使用できます。そのうえでゲイン信号結果の収集によるファイソン社の独自のAIテクノロジーとの連携で、開発環境に最適な、リピータゲインパラメーターを見つけることができます。
Phison PCIe5.0リピータIC PS7101パフォーマンステスト結果 |
ファイソン社の潘健成会長は、次のように述べています。
『 ファイソン社は高速伝送インターフェース技術の研究開発に取り組んでおり、PCIe 5.0PHY物理層IP開発機能を持つチームを備えた台湾で数少ないIC設計会社の1つです。 USB、SATA、UFSインターフェース用のPHY物理層IP技術の開発から、自社開発のPCIe 4.0PHYを使用して設計された世界初のPCIe4.0 SSDコントローラーチップまで、ファイソン社の高速伝送インターフェースエンジニアリングチームには、長年にわたる技術開発の経験と蓄積があります。主要なCPUチップメーカーおよび周辺のアプリケーション開発者との緊密な技術協力関係も確立しています。 ファイソン社は、高速伝送インターフェースと信号解析およびシミュレーションの問題の互換性を解決するために、コストを度外視して高度な高速信号解析ラボを設立し、独自の技術と研究開発チームを育成しています。今回、高速インターフェースIC市場に参入し、最新世代のPCIe5.0リピータ/リタイマICであるPS7101を開発しました。この製品の顧客ニーズの確認、仕様の設定、開発への投資、エンジニアリングサンプルの完成、生産の完了まで、8か月弱で達成しました。これは過去10年の技術研鑽の成果です。』
ファイソン社は、PS7101リピータICに対して厳格な製品テストを実施しました。リピータICの機能がPCIe仕様の要件を満たしていることを確認した上で、さまざまなCPUメインチップ、PCIe5.0デバイスの複雑で多様な伝送環境と互換性を確認しました。現在、世界の主要なCPUメインチップメーカーは、新世代の新プラットフォームを積極的に推進しています(詳細については、PC Platform Link 1, PC Platform Link 2, Server Platform Link 1, Server Platform Link 2を参照ください)。ファイソン社は高速PCIeインターフェースのシステム開発ニーズを満たし、多くのマザーボード、サーバー開発者に認識され、設計の導入がスタートし、高速伝送インターフェースIC市場への参入に成功しました。
顧客にとって、ファイソン社はPCIe 5.0 リピータICのサプライヤーであると同時に、PCIe 5.0信号システムの分析、シミュレーション、互換性の問題解決を支援するパートナーでもあります。私たちの目標は、高速インターフェースプラットフォームの開発において顧客が開発時に直面する技術的問題の解決を支援するテクニカルサポートソリューションを顧客に提供することです。主要なCPUメーカーによる新製品の開発に合わせて高速インターフェース技術は増え続け、より多くのプラットフォーム上で使用できます。
ファイソン社の高速伝送インターフェースICの開発計画では、今回のPCIe5.0リピータIC PS7101の他、さまざまな高速伝送プラットフォーム環境に対応するPCIe 5.0リタイマICが含まれており、顧客がコストと信号の最適なバランスを取ることでベストの選択ができるようになります。 高速伝送インターフェースIC関連市場は今後の成長が予測され、ファイソン社は研究開発チームを拡大し、高速伝送インターフェースICに加えて、NAND制御チップに関する研究開発も引き続き計画しています。 PCIeの PHY物理層IPに関する研究開発は、高速伝送インターフェースIC市場で重要な位置を占め、今後の主要な主要技術を牽引していきます。